子どもの未来の選択肢を増やすために ─ 発達支援で本当に大切にしたいこと

子どもの未来の選択肢を増やすために ─ 発達支援で本当に大切にしたいこと

Xでもインスタグラムでも発信した内容をより深く、より濃く発信したいと思います◎

癇癪は困った行動ではなく、大切なサイン

発達支援の現場でよく話題になることの一つに「癇癪への対応」がありますよね。

突然泣いてしまう。
怒りが爆発してしまう。
物を投げてしまう。
その場から離れてしまう。

こうした行動が見られると、周りの大人はどうしても「どうやって止めるか」「どう対応するか」という部分に目が向いちゃいがち。

もちろん、目の前で困っているお子さんを安心させることは大切なこと。

しかし、僕らは癇癪という行動だけを切り取って考えるのではなく、その行動を「その子から発信された大切な言葉」として捉えることが必要だと考えているわけです。

「嫌だった」
「分からなかった」
「不安だった」
「助けてほしかった」
「自分の気持ちを伝える方法が分からなかった」

癇癪の奥には、そのお子さんなりの理由が必ずあります。

表面に出ている行動だけを見るのではなく「なぜこの行動が起きたのか」を考え、気持ちに沿った方法で気持ちを表現できるよう支援していく。

これは発達支援において、とても大切な視点だというふうに思っています。

ただ、発達支援で大切なことは、癇癪への対応だけではありません。

むしろ、そこだけに目を向けてしまうと、本当に大切な「可能性を広げる支援」を見失ってしまうことがあります。

発達支援には、ここでは挙げきれないほどたくさんの大切なことがあります。

生活環境を整え、生活習慣を確立すること。
対人関係の中で、安心できる信頼関係を築くこと。
遊びの幅を広げ、自分から楽しめる経験を増やすこと。
文字や数字など、生活していく上で必要となる力を身につけること。
体力をつけ、身体を思うように動かせる力を育てること。
粗大運動や微細運動を通して、身体の使い方や技術を磨くこと。
外へ出る経験を積み、社会の中で過ごす力を育てること。

一つひとつは小さな積み重ねかもしれません。

しかし、こうした経験の積み重ねが、将来の「できること」を増やしていくことに繋がります。

できることが増えると、人生の選択肢が増える

発達支援の目的は、「できないことをできるようにする」だけではありません。

本当の目的は、その子自身が人生の中で選択できる幅を広げていくこと(やや抽象的だが)だと思っています。

例えば…

文字が読める。
数字が分かる。
人とやり取りができる。
公共の場所で過ごせる。
料理や掃除など生活に必要なことができる。
身体を動かして好きな活動に参加できる。

これらは単なる「能力」ではありません。

お子さん自身が、自分の人生を楽しむための『道具』になります。

選択肢が増えるということは、「自分で選べる」ということです。

自分で選べるということは、自分らしく生きる幅が広がるということです。

そして、その幅が広がることで、人生は少しずつ豊かになっていくのだと思います。

子どもの幸せを願うということ

ASTEPに通ってくださっている保護者の皆様は、例外なく全員が「我が子に幸せになってほしい」と願われています。

これは間違いありません。

僕も親です。親であれば、誰もが願うことだと思います。

ただ、ここで大切なのは…

「どこまでの解像度で、その子の幸せを願っているか」

ということです。

今楽しく過ごせること。
今困らないようにすること。

もちろん、それも大切です。

でも、その先にある未来まで考えた時に…

親がいなくなった後も、その子らしく生きていけるように。
必要な時には人の力を借りながら、周囲から愛されて生活できるように。
自分の好きなことを見つけ、自分で選択しながら生きていけるように。

そう考えると、今から身につけていく力はたくさんあります。

ASTEPが願う「社会自立」とは?

自立という言葉を聞くと「全部一人でできること」と考える方もいるかもしれません。

間違いではないです。自分のことを自分でできるようになる、めちゃくちゃ大事です。

ただ、本当の自立とは何でも一人で抱えることではありません。

困った時に助けを求められること。
必要な人とつながること。
自分の気持ちを伝えること。
自分で選択すること。
人の力を借りながら、自分らしく生活していくこと。

これらも立派な自立です。

ASTEPの支援者が願っている未来は、今通っている子どもたちが…

一人で外を歩き、行きたいお店に入り、自分で好きなものを選び、好きな食事を楽しみ、家に帰れば掃除をしたり、料理をしたり、お風呂に入ったり、おしゃれもしてみたり~

自分の生活を自分らしく営んでいけることです。

そのためには、今の小さな積み重ねが必要になります。

「難しい」を理由に可能性を狭めない

例えば、課題学習についてですが…

「文字と数字は最低限必要」

僕はそう考えています。

文字が読める、数が分かるということは、ただ勉強ができるということではありません。

街の中にある情報を理解する力になります。
お店の看板を見ることができます。
駅の表示を見ることができます。
説明書や案内、時間を読むことができます。

生活の中で、自分を助けてくれる力になります。

「ひらがなが読めれば十分」

そう考える方もいるかもしれません。

もちろん、ひらがなが読めることも大きな成長です。

じゃあ漢字はどうでしょう?

漢字が読めなければ理解できない情報もかなりたくさんあります。

「漢字なんて覚えられない」

そう思われることもあるかもしれません。

でも、お子さんに合った方法で、時間をかけて積み重ねていけば、可能性はきっと広がります。

ある女の子との机上学習

数年前に卒所した女の子がいました。

その子は、ひらがなやカタカナはある程度読むことも書くこともできていました。

しかし、漢字になると全く分からない状態でした。

そこで僕は、その子に必要な漢字から少しずつ伝えていきました。

例えば「川」

ただ暗記するのではなく、水が流れているような形に見えることをイラストで伝えました。

すると次に来た時に「かわ」と読むことができました。

もちろん、継続しなければ忘れてしまいますが。

でも、一度でも「分かった」という経験は、その子の中に残ります。

「山」も同じです。

形と意味を結びつけることで覚えやすくしました。

「見」という漢字では、目の部分を目玉のイラストにして、足を付けてキャラクターのように表現しました。

本人も笑いながら楽しんで覚えてくれました。

「走」という漢字も、人が走っている姿に見立てて伝えました。

限られた通所期間の中だったため、生活に必要だと思う漢字を中心に覚えてもらいました。

全てを完璧に覚えることが目的ではありません。

これはその女の子の未来に必要な力を、一つでも多く増やすことが目的です。

環境が人を育てる

「ひらがなだけでいい」
「数字は1から10まででいい」

そう決めてしまった瞬間、その先の可能性を狭めてしまうことがあります。

もちろん、無理をさせることとは違います。

その子に合った方法で、その子のペースで、「難しい」を少しずつ乗り越えていく。

それが支援だと思っています。

できることが増えると、街を歩いた時に気づけることが増えます。

楽しめることが増えます。

自分で選べることが増えます。

私は、子どもの可能性に最初から限界を決めたくはありません。

家庭・学校・デイ、それぞれの役割

ただ、こうした力を育てる環境を、今の時代に家庭だけで整えることが簡単ではないことも理解しています。

現在は、多くの家庭が共働きです。

朝は時間との戦い。

お子さんを起こして、朝食を準備して、学校へ送り出し、仕事へ向かう。

仕事から帰れば、夕飯、お風呂、寝る準備。

毎日を回すだけでも大変です。

「いつ課題に取り組むのか」

難しいことは十分理解しています。

だからこそ、保護者の方を責めたいわけではありません。

ただ、環境は少しずつ変えることができます。

意識も変えることができます。

私たちデイができることは、残念ながら一部分です。

歯がゆく感じることもあります。

でも、中心となる場所は間違いなく『家庭』です。

家庭が土台であり、学校がその一部を支え、デイがさらに補助する。

この関係性が大切だと思っています。

子どもを育てるのは日常の中にある

今はスマートフォンやゲームが子どもの時間を埋める時代です。

もちろん、ゲームやスマホが悪いと言いたいわけではありません。

使い方の問題です。

その中で…

一緒に料理をする。
親子でトランプやボードゲームをする。
お風呂掃除を任せてみる。
洗濯物を一緒に畳む。
買い物で選択する経験を作る。

こうした家庭でしかできない経験がたくさんあります。

これは障がいの有無とは関係ありません。

子どもは、日々の環境の中で育っていきます。

最後に、親として思うこと

僕たちASTEPは、子どもたちに『寄り添う』ことを大切にしています。

僕自身のことでいうと、自分の娘には厳しく向き合う場面もあります。

人の気持ちを傷つけること。
倫理に反すること。
やるべきことより、やりたいことを優先してしまうこと。

そんな時は、

「こっちおいで。話や」

と向き合う時間を作ります。

何が悪かったのかを一方的に理解させることが目的ではありません。

向き合う姿勢そのものを伝えたいと思っています。

その積み重ねは、きっと子どもに伝わると信じています。

子どもの性格や特性によって、信頼関係の築き方は違います。

正解は一つではありません。

でも、どんな形であっても、子どもと向き合う時間は必要です。

忙しいなら、少しだけ早く起きて一緒に散歩をする。一緒に太陽を浴びる。短い時間でも、子どもと同じ景色を見る。

それだけでも十分意味があります。

僕も二人の子どもの親です。

我が子の幸せを願うなら、願うだけではなく行動することが大切だと、そう思っています。

学校やデイに任せるだけではなく、教育の主体は家庭です。

子どもが大きくなってから後悔しないように。

今しかできない関わりがあります。

今しか作れない環境があります。

子どもの未来の選択肢を増やすために。

今日からできる小さな一歩を、親も支援者も一緒に積み重ねていきたいと思います。



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どうも!ASTEPホームページ管理人です! 京都の乙訓圏域で放デイを運営しながら、積極的に現場に入って福祉の現状の改善に奔走しています。 InstagramやX(旧Twitter)ゆる~く更新してます★ どうぞご覧あれ~◎

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