特性のある子どもが何かをやろうとしたとき、その様子をそっと見守って、『待つ』ことって、どれだけの方ができてますか?
つい、「あーこうしたほうがいいね」とか「きっとこう考えてるんじゃない?」って、先回りして動いてしまうこと、ありませんか?
たとえば、子どもが施設の外にパッと出ていってしまったとき。
その瞬間、「ダメじゃないか!」と思って、つい声をかけてしまうこともあるかもしれません。
でももしかしたら、その子どもにはちゃんと外に出る理由や目的があったかもしれませんよね。
その理由を聞く前に制止してしまうと、せっかくその子どもがやろうとしていたことを中断させてしまうことになります。
そうなると、なぜ外に出たのか、本当の理由を知るチャンスもなくなってしまうんです。
たぶん、何も考えずに外へ出るなんてことは、ほぼないと思いますよ。
もしかすると、すごく大事なことだったのかもしれません。
それを「危ないから」とか「ルールだから」といった理由で止めてしまったら、支援というよりも妨げになっているようなことも多いはずです。
実際にASTEP LABOでもありました。
制作をしている時、あるグループは視覚的な刺激を抑えるため、最適化された部屋で個別で取り組んでいました。
順番を待っているAくんがが、そっちの部屋に行きたがってる様子が見られました。
刺激を減らすため、極限まで出入りを少なくするために鍵をかけていたんですが、「開けろ!」と言わんばかりに取り乱してドアを開けようとするんです。
最初は「今はBくんが制作をしてるから少し待っててくれる?」と声をかけましたが、すぐにハっとしたわけです。
集積しているお茶BOXに水筒がないことに気付き、「もしかしたらAくんはお茶が飲みたいのかも…」と、仮設を立てたわけです。
すぐに開錠して、動きをみると…お茶を出し、グビグビ飲み干して満足気に遊びに戻っていったわけです。
こんな事例もありました。
少し難しい身体の動きが求められる活動で…
慣れない動きでがんばっているCくん、その横から支援者がサッと手を貸してしまっている。頑張っている途中に…
自分なりに頭で考えて工夫して達成しようとしているときに、「こうやってすると上手くいくよ!」と言って止めてしまっていたことがありました。
Cくんのことをもっと知りたい、理解したいと思うなら、まずは、自分の考えや判断をすぐに前に出すのを、ちょっとだけ待ってみてほしい。
と、支援者には伝えました。
その後、Cくんは自分なりの動きで課題を達成して笑顔で活動を終えることができました。
彼らも、いろんなことを考えて、自分なりにやろうとしているんです。
「何をしようとしているのか?」「どうやってやろうとしているのか?」そこを知ることが、真なる支援につながっていきます。
逆に、先回りして手を出してしまったら、その支援って本当に必要だったのか、見失ってしまうこともあります。
だからまずは、特性のある子どもの行動をよく見て、どこにどんな支援が必要なのかを見極めるところから始めたいんです。
もし「待てない」って感じているなら、もしかすると「この子は失敗するかも」「できないだろう」「迷惑をかけるかも」といった、思い込みやバイアスがかかっているのかもしれません。
それって、本当?って思うんです。
先のことを心配するあまり、行動を止めたり、口を出したりしていませんか?
子どもがやろうとしていることを見て、できそうなら一人でやってもらう。問題がなければ、そのまま見守る。
でも、子どもからのSOSが出たときには、すぐ支援を始める。
支援って、「助ける」ことではありますけど、「なんでも手を出す」ことではないんですよね。
子どもが自分でできることは、自身の力でやってもらう。
その力を信じて、支えていくことが、支援の基本スタンスだと思うんです。(少なくともASTEPでは)
まずは、子どもの気持ちや行動のサインをしっかり受け止める。
そして、SOSが出たら、すぐに動けるように備えておく。
それが、『待つ支援』の第一歩かな~と思います。
もちろん、SOSを出しやすい雰囲気や関係性をつくることも、とても大切ですね。
「待つ」って、意外と難しいことなんです。
でも、支援者にとってはとても大切なスキルのひとつ、だからこそ、意識していきたいところですね。
もし今、「つい口を出してしまうな」とか「いつも先に手が動いてしまうな」と感じているなら、ちょっとだけ「待つ」を意識してみてください。
そして、子どもの行動を、そっと見守っていきましょうよ!
発達支援で「待つ」ことが大切な理由
- 自己決定感と自尊心が育まれる
子どもが自分のペースで物事に取り組むと、「自分でできた!」という達成感が得られることも。支援者が過度に手を出さずに待ってくれると、子どもは自分で解決策を考えたり、問題を乗り越えたりする力を育むことができるんです。これが、自分に自信を持つことに繋がり、自信を高める大きな一歩になります。 - 自己調整力が身につく
支援者がいつもすぐに手を出してしまうと、子どもは自分で判断したり、問題を解決する力を鍛えるチャンスを失ってしまうことも。逆に、支援者が「待つ」ことで、子どもは自分の行動をどう調整するかを考えることができる機会を与えることができます。この「自己調整力」は、社会生活や協調性を育むためにもとても大事なスキルですよ。 - 子どものペースを尊重できる
発達には個人差がありますよね。全ての子どもが同じペースで成長するわけではありませんからね。焦って先回りしてしまうのではなく、子ども一人ひとりのペースを尊重し、待ってあげることが大切だと感じます。焦らずに待つことで、その子どもにぴったりの支援方法を見つけることができるかも…。 - 自主性と自立を促す
「待つ」という行動が、実は子どもの自主性を育むことにも繋がります。支援者がすぐに介入しないことで、子どもは自分で考え、行動する力を育むことができるかも。そんな積み重ねがあれば、将来的に他の人の助けは最小限に、できる範囲は自分で物事をやり遂げることができるようになり、自立心が育まれかも…。
まとめ
「待つ支援」とは、ただ待つだけではなく、子どもが自分でできることを見守り、成長をサポートする大切な役割です。
支援者が無理に介入するのではなく、子どもが自分の力を信じて、少しずつできることを増やしていく手助けをすることが、最終的にはその子どもの自立と成長に繋がっていくはず!
だからこそ、焦らずに子どものペースに合わせて見守ることが、もっとも大切な支援の一つだと思いますよ◎
お問い合わせはこちら