大学では社会福祉学部に在籍し、福祉心理を専攻
前職は公務員として11年間1000人規模の職場で心理カウンセラーとしても勤務し「傾聴力」を磨いてきました。
こんにちは!こんばんは!児童指導員のみなぐちだいすけです。
ASTEP(アステップ)の中心的な取り組みである、LST(ライフスキルトレーニング)今回は「自分のレベルを知ろう!」を立案し、実践しました!
お家でも簡単に取り組める活動になります!取り組みの内容や方法、今回の評価をお伝えしていきたいと思います。
目次
取組みの内容等
本活動の大きな目的は”見通す力”を身につけるためのトレーニングです。
発達障がいの子どもの中には、特定の行動パターンや環境へのこだわりが強い子や、予定の変更や見通しの立たない出来事に対しての不安が強い子がいます。
一般的な対策として、生活に支障の出ない範囲で、本人が安心できるパターンや環境を尊重しつつ、変化の可能性に対してあらかじめ伝えておいたり、変化に対して柔軟な対応ができるような声かけをしたりすると、不安が緩和されやすいと言われています。
今回のトレーニングは、そのような外的な支援によるものではなく、自身で自身の能力を予想して、自分の実際の力を知ることで、その差異に気付くこと。また、その差異を埋めるためにどうしなければならないのか、先々を見通した計画を立てる能力を養うことをねらいとしたトレーニングです。
活動の概要
実行機能ワークとして、ワークシート「自分のレベルを知ろう!」を使用し、それぞれの課題(個数・秒数)を予想し、ワークシートに記入します。
予想をしたのちに、課題を実際に行い、予想と結果を見比べてどうだったか?結果を踏まえ、予想と結果には差異があることについて知っていきます。
また、子どもによっては、差異を埋めるために、どのような行動をしていけばいいのかを一緒に考えていきました。
活動のねらい
- 自分の能力と、実際に発揮できる能力の差異について知る
- 自分はどれぐらいできるだろう?と考える必要性を学ぶ
- 思ったよりできないことが多いことを知った上で、計画を立てる(見通しを持つ)必要性を知る
到達目標
個人の特性、学齢等を鑑み、以下の区分において目標を設定しました。
自分の予想と実際の力の差異を知ることができ、計画を立てる必要性を知ることができる。
〖B目標〗
自分の予想と実際の力の差異を知ることができる。
〖C目標〗
取り組みに意欲的に参加し、課題に取り組む中で、自分の能力を知ることができる。
活動の様子
LP(レッスンプラン)の計画に沿って活動を進めていきました。
活動を通して、課題の合間で、食い違いが出てくる場合に「時間がかかると焦ってしまうから、実際にできることは思ったより少しかもしれないよ」というような声掛けを行いました。
予想(見通し)を立てる、修正を促すなどのアプローチを行い、答えに詰まる場面(感情が邪魔したり)で、疑問が生じたとき、正解なのか(言っていいのか?)など、子どもたちの思考を、その都度フィードバックしながら進めていきました。
振り返りの場面では、もっとできたのか?上手くいったのか?もっと言えるようになりたい…などの感想を引き出すとともに、自分の予想と出来る能力のギャップ、食い違いが出てくることを伝え、そのギャップを修正する必要性の理解を促しました。
また、自分の能力以上のことはできないうえに、大体は能力以下の結果になることが多いことを伝え、そのことを踏まえて計画を立てていかないと、できない自分にイライラしてしまうため、自分でスモールステップを設定し、少しずつこなしていくことで、「小さな出来た」を続けていく必要性を伝えました。
活動の評価
- 片足立ちの課題では、予想をはるかに上回るタイムを達成することができた。本人もその結果を受けて驚いた様子で、「自分はこんなにできたんだ!」という達成感に満ち溢れていた。その結果を受け、固定概念を持つことを出来る限りなくし、子どもたちの新たな一面を見出せるような働きかけを行うことの大切さを改めて知るきっかけとなりました。
- 大体の子どもは予想よりも下回る結果となった(狙い通りですが)
集団で一斉に課題を行ったため、お友達の出来などを確認し合う様子が見られた。そのこともあり、「自分だけができなかった」など、自信を喪失するような様子はほとんど見られなかった。本来、個別で行う療育活動であったが、あえて集団で取り組んだことで、このねらいを達成することができました。 - ワークシートの記入時には、具体的な数字(回数や秒数)を書くため、見通しが持てずにいた子どもも散見されたが、大胆かつ割り切って予想をする姿が見られた。予想はあくまで予想という本質を理解できた子どもも中にはいたことも評価できます。
- 「どれぐらい?」「何回(何秒)くらい?」という抽象的な質問に対し、なかなかペンが進まない子がいました。そこでのコミュニケーションで「先生だったら〇個くらい言えるかなー?」「〇〇君だったら〇回くらいできるんじゃない?」とある程度の目安を提示をすると「僕は友達が多いし〇人くらい言えるかも」と、予想を見立てるための最初の一歩となる思考ができた。
- 普段は物静かに淡々とこなすタイプの子が、予想を越える結果となった課題は、「見て!こんなに言えたよ!」と結果を報告し自分をアピールをする様子が見られた。本来、見通し持つためのトレーニングでしたが、自分でゲーム性を見出し活動を楽しもうとする姿が見られました。
さいごに
LST「自分のレベルを知ろう!」の評価をお伝えしてまいりました。
発達に特性がある子は見通しや計画性がないために、出来ない自分と捉えてしまうため、予想よりもできないことは当たり前なことを伝えながら自己肯定感を高められる声掛けを要所で行うことが重要となってきます。
ご家庭や事業所での、子どもの見通し力トレーニングの参考となれば幸いです。
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